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生食ブームに警鐘。2010年 食中毒発生事例(速報:1月31日までに厚生労働省に報告のあった事例)からスーパーのノロウィルス対策状況と原因食と疑われている牡蠣について考えて見た

流通業界・用語|2011/02/23 posted.

この記事は当時の情報・法律等に基づき記事にしています。
併せて直近記事を参照願います

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★ノロウィルスの不活化に有効な加熱温度と時間は
 「85℃~90℃に中心温度が達してから90秒加熱」が
 推奨されています。(厚生省大量調理マニュアルより)
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食中毒発生事例(速報:1月31日までに厚生労働省に報告のあった事例)を食彩賓館で集計してみました。もっともいいかげんな食彩賓館なので数値はあんまり信用しないように。気になる方は自分で再確認してみてください。
ということで、転用して恥をかくのはご自身なので間違っても転用しないように。また、牡蠣の生食や鶏肉など肉類の生食に対して一部、否定的な表現をしていますが、これは食彩賓館の勝手な思い込みであって、すべてに通用することではありません。なので、私の記事に触発されて「や~めた」とか短絡的な判断はしないように。

●報告件数 1,089件中
●原因 (上位5因) 
 ノロウィルス 333件 
 カンピロバクター  319件
 きのこ等    97件
 サルモネラ     53件
 ふぐ       31件

2010

ということで圧倒的にノロウィルスとカンピロバクターが原因となっていることがわかる。
それでは原因食はというと、これが表示されているのは272件と少ない。
その272件の中身は、
 魚介類 113件
 肉類    72件
 野菜    87件
一番多い魚介類では圧倒的に「牡蠣(かき)」が多く、魚介類原因の40%近くを占める。もちろんアニサキス(サバ等)やテトロドキシン(フグ)もあるが、やはりノロウィルス。
肉では意外というか、やっぱりというか「鶏肉」が肉類原因の半数を占める。肉類原因のほとんどはカンピロバクター。意外といったのはあれだけ生レバーとか出している焼肉屋さんが多いのに鶏肉の方が実績として多いということ。と、いってもどちらも危ないことには違いない。
「牡蠣」も「鶏肉」も生食で、あるいは加熱不足(たたき等)の鶏肉を食べたことが原因と思われるが、さらにそれらを介した調理器具や設備等による二次汚染もあるかもしれない。
いずれも、「鮮度が良いから大丈夫」とか「酢でしめたから」あるいはタタキのように「(表面だけ)火を通したから」ということよる事故も発生していると思われます。
ノロウィルスに鮮度は関係ないように思われます。酢ではノロウィルスはなくならないし、加熱も中心温度85℃1分が原則です。
この85℃がやっかい。「風味がとぶ」ということで料理人がいやがる温度。
しかも中心温度測定を義務付けている企業でも、しっかりチェックしている飲食店は少ないと思う。スーパーの“ライブ調理売場”を見ていても中心温度を測定している店に出会ったことがない。

で、ここで思ったこと。
「ふぐ」が原因となる食中毒事故は牡蠣を原因とする事故よりも圧倒的に少ない。牡蠣の約半分近く。これはふぐ調理士免許や調理場の認定など、行政の許可が必要で提供側の衛生知識が豊富であるためと勝手に解釈しています。
それでも毎年、営業許可をいただいている人々は衛生講習会に年一回参加したりしてカンピロバクターやノロウィルスの事故事例を勉強しているハズ。なぜ、こうも発生しているのかというと、「わかっちゃいるけど止められない」が理由と推測。
ある保健所が実施したアンケートを読んだのだが、「客が要望するから」「他店がやっているから」という理由で鶏肉や生肉の刺身やタタキを提供している飲食店が多いらしい。
やっぱ事故は自己責任だなあ。客も店も。

 いつものように前ふりが相当長くなってしまったが、今回のテーマは「ノロウィルスによる事故はもっと多いのだよ」という話。
ノロウイルスはご存知のように牡蠣などの二枚貝の生食やノロウィルス感染者の糞便や嘔吐物から伝染することが多い。ところが、一部の情報で「牡蠣を原因とする食中毒事例はない」というような話を聞いて、ええっと驚き、ちょっと調べて見るかとなった次第。
結果は最初のデータのようにしっかりと厚生省に牡蠣の事故例(疑い含む)が報告されています。
それはともかく、ノロウィルスによる症状が多数でても「食中毒」とならないことがあります。「食物を媒体とする食中毒」ではなく、「感染症による体調不良」と保健所で判断される事例が多いのです。その他にも発症時期と飲食時期の関係とかいろいろな判断条件があり、非常に難しい判断を保健所がされているのです。感染症と食中毒では天と地の差がある。かたや責任なし(道義的な責任は別として)で片や「行政処分」で新聞に掲載され、社会的制裁を受ける。
ということなのですが、食材が原因となる場合で、一番、食彩賓館が怖いなあ~と思っているのは客が持ち込むノロウィルス菌。
たとえば、入口にアルコールを置いている店もあるが、ノロウィルスはアルコールでは死滅しないので、ノロウィルス保菌者(発症していない健康保菌者含む)が惣菜売場の揚げ物コーナーでトングを持って自分の好きなコロッケをトレーに乗せる。そしてトングを元の場所に戻す。客がノロウィルス保菌者ならそのトングに菌が付着している可能性がある。あくまで可能性です。
そのトングを使い捨てではない手袋をした従業員が触っているのを見たことがある。最近は調理場が見えるのでその手袋をどうするのか見ていたら、トングを洗い場に置いたあと、そのままの手袋で弁当作業をしていた。そういった作業場では使い捨て手袋を使うようにしたいものです。(弁当を素手で詰めていた某店は論外ですが)
調理を見せながら販売する売場を「ライブ感がある」として評価する業界紙・誌のライターが多いのですが、食彩賓館的にはどうしても納得できない部分があるのです。ノロウィルス菌が唾液とかと一緒に調理場へ飛ばないのかなあという余計な心配をしてしまう。
で、だったら買わないのかというと そうでもありません([E:coldsweats01])。しっかりと作業方法を確認させていただき、使い捨て手袋の使い方やマスクや手洗いの方法などから、その店の衛生管理や観念を判断し、「推定大丈夫」と判断してから購入しています。
もっとも「新鮮で、安くて、珍しいもの」があったりするとその禁を破って、購入してしまいますがね([E:catface])
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ということで、牡蠣があたかもノロウィルス感染症あるいは食中毒の最大の原因と言っておりますが、二枚貝であればすべてその危険性があります。例えばあさりでもホタテでも。牡蠣が原因食として大きくクローズアップされる傾向にあるので、どうしても生食が心配になってしまうのかもしれません。
産地ではきちんとした対応をされているところがほとんどなのですが、なかなか私達消費者に伝わってこないこともあります。
今回、きちんとした資料や情報を提供していただいている産地を先様に断りなく、勝手に紹介させていただきますが、私を含む消費者側もきちんとした知識と情報を確認して、生食で「食べる」「食べない」を判断すべきと思っています。
(ちなみに紹介サイトとアフリエイトとかの契約はしておりませんし、直接販売サイトへジャンプしたりする誘導リンクではありません。)

ご参考資料
●ノロウイルスに関する情報 株式会社 かなわ(広島県南区))
↑非常にわかりやすく、しかも産地の取り組みが丁寧に紹介されています。

●JF岡山漁連加工流通センターではノロウィルスの検査結果をホームページで詳細に公表してくれています。「不適」が結構、多いので、もしそのまま流通して、それを生食していれば大変なことになるかもしれないところを水際でストップしてくれています。
●宮城漁連ホームページ
↑ノロウィルスが陽性と判断された場合は出荷制限がかかります。

まだまだ他にも沢山ありそうですが、この辺で。
逆に、データ公開や更新がされていないところもあるようなので、今後もしっかりとチェックして購入したいと思います。
 ちなみに我が家では、冬場の貝類の調理飲食は煮ても焼いても禁止ということになっています。生食をしなくても、包丁などの調理器具からの二次汚染防止が理由。そうしょっちゅう、消毒なんかできないし。(あさりの味噌汁は調理せずに煮るのでオーケー)
例外として、妻の実家に帰ったときだけは、中心温度85℃1分まできちんと加熱して、食べさせていただいてます。ハイ。「親の好意を無碍にできない」を理由にパクパクと([E:catface])

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◇食中毒事件・事故
平成9年の堺市の集団食中毒の概要と対策(外部HP)

・学校給食による病原性大腸菌O157の罹患が確実であると判断された患
者数は、市内居住者では、多発校学童・教職員7,936名、その家族1,180名、一般市民376名、また市外居住者でも、学童3名、教職員27名、一般市民1名合計31名存在し、市内外居住者の患者総数は、9,523名

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